円形脱毛症は、髪の毛をつくる「毛包」に免疫が誤って反応することで起こる自己免疫性の脱毛症です。

円形や楕円形に髪が抜けることが多い病気ですが、1か所だけの場合もあれば、複数に増える場合もあります。頭部全体、眉毛・まつ毛、体毛まで脱毛することもあります。

ストレスだけが原因の病気ではありません。ストレスが発症のきっかけになることはありますが、思い当たるストレスがなくても発症します。

軽い円形脱毛症では自然に髪が戻ることもあります。一方、脱毛範囲が広い場合や急速に進行する場合には、早めに治療方針を考えることが重要です。

このような症状があればご相談ください

突然の脱毛や、脱毛部分の広がりに気づいたときはご相談ください。

円形脱毛症はなぜ起こるのでしょうか?

髪の毛は、皮膚の中にある「毛包」という組織からつくられています。円形脱毛症では、本来は細菌やウイルスなどから体を守る免疫が毛包を誤って攻撃し、成長していた毛髪が抜けてしまうと考えられています。

そのため、「血行が悪いから」「シャンプーが合わなかったから」「ストレスがすべての原因」という病気ではありません。

アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や、甲状腺疾患などを合併することもあります。ただし、すべての患者さんにこれらの病気があるわけではありません。

円形脱毛症にはいくつかのタイプがあります

脱毛の数や広がり方によって、いくつかのタイプに分けられます。経過の途中で別のタイプに変わることもあります。

単発型

1か所だけ円形または楕円形の脱毛斑がみられるタイプです。比較的軽症で、自然に発毛してくることもあります。

ただし、最初は1か所でも、その後脱毛斑が増えることがあるため、経過を確認します。

多発型

円形の脱毛斑が2か所以上みられるタイプです。それぞれの脱毛斑が大きくなったり、隣同士がつながったりすることがあります。

蛇行型

後頭部から側頭部など、生え際に沿うように帯状に脱毛するタイプです。一般的な単発型より治療に時間がかかることがあります。

全頭型・汎発型

頭髪のほとんどが抜けるものを「全頭型」、さらに眉毛・まつ毛・体毛などにも脱毛が及ぶものを「汎発型」と呼びます。

広範囲の円形脱毛症では、外用薬だけで十分な効果を得ることが難しい場合があります。条件を満たす重症例では、JAK阻害薬による治療も選択肢になります。

円形脱毛症とAGAは別の病気です

男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)も髪が薄くなる病気ですが、円形脱毛症とは原因も治療も異なります。

AGAでは、一般的に生え際や頭頂部などが少しずつ薄くなります。一方、円形脱毛症では、ある部分だけが比較的急に、境界がはっきりした形で抜けることが特徴です。

脱毛には、ほかにも次のような原因があります。

「髪が抜けた=円形脱毛症」とは限りません。特に子どもでは、頭部白癬や抜毛症との区別も大切です。

薄毛・AGA/FAGAについて / フケ・頭皮の赤みと脂漏性皮膚炎について

診察では何を確認するのでしょうか?

診察では、脱毛の場所や範囲、進む速さを確認します。必要に応じて、頭皮や毛を拡大して観察するダーモスコピーを使います。

すべての患者さんに採血が必要なわけではありません。症状や既往歴から必要と判断した場合に、甲状腺機能などの血液検査を行います。頭部白癬を疑う場合は、カビの有無を調べる真菌検査を行います。

円形脱毛症の治療

脱毛の範囲、進行しているかどうか、発症からの期間、年齢などによって治療方法を選びます。小さな脱毛が1か所ある場合と、頭髪の半分以上が抜けている場合では、適した治療は異なります。

当院では、軽症から中等症の円形脱毛症に対して、ステロイド外用薬と308nmの紫外線治療を中心に治療しています。

ステロイド外用薬

毛包の周囲で起こっている免疫反応を抑える目的で使用します。特に、単発型や、脱毛斑がそれほど広範囲ではない多発型で行われる標準的な治療です。

脱毛の状態や部位に応じて薬の強さを調整し、発毛の状態を確認しながら続けます。塗り始めてすぐに髪が生えてくるわけではなく、変化を確認するにはある程度の期間が必要です。

長期間の使用などで、皮膚が薄くなる、毛細血管が目立つ、毛穴にぶつぶつができることがあります。自己判断で塗る量や回数を増やさず、処方時の指示に沿って使ってください。

紫外線治療(308nm UVB)

当院では、308nmの紫外線を脱毛部分に照射する光線療法を行っています。紫外線の免疫調整作用を利用し、毛包への過剰な免疫反応を抑えることを目指します。

使用する機器は、ウシオ電機のセラビーム UV308 mini LEDです。患部を狙って照射する機器で、正常な皮膚への照射をできるだけ少なくしながら、脱毛部に308nmのUVBを照射します。

円形脱毛症に対する、この波長帯の中波紫外線療法は保険診療で受けられます。

通院は週1〜2回が目安です。皮膚の反応や脱毛の状態に合わせて、照射の間隔を調整します。

どのような患者さんに行いますか?

単発型や多発型、ステロイド外用だけでは改善が十分でない場合などに検討します。外用薬と併用することもあります。

年齢や脱毛の範囲、通院できる頻度に合わせて治療を相談します。小児では長期的な安全性のデータが限られるため、効果を確認せずに照射を続けることは避けます。

1回照射すれば治りますか?

通常、1回だけで発毛させる治療ではありません。皮膚の反応や脱毛の状態を確認しながら繰り返し治療し、一定期間ごとに効果を評価します。

効果には個人差があり、十分な発毛が得られない場合もあります。照射後には赤み、ヒリヒリ感、色素沈着、水ぶくれなどが出ることがあります。

強い赤みや痛み、水ぶくれがある場合は、次の照射前にお伝えください。光で症状が悪化する病気や、光に敏感になる薬を使用している方も、診察時にお知らせください。

広範囲・難治性の円形脱毛症とJAK阻害薬

広範囲で治りにくい円形脱毛症には、免疫反応に関わる働きを抑える内服薬があります。日本では、次の薬が条件を満たす場合に保険適用となっています。

JAK(ヤヌスキナーゼ)など、免疫反応を伝える仕組みに作用して、毛包に対する過剰な免疫反応を抑える治療です。当院では、これらの薬による治療が適している可能性がある方を基幹病院へご紹介しています。

誰でも飲める薬ではありません

軽い円形脱毛症に使用する薬ではありません。頭部全体のおおむね50%以上に脱毛があり、過去6か月程度、毛髪の自然な再生が認められないことなどが、治療を検討する条件になります。

年齢、これまでの治療、持病なども含めて適応を判断します。受診を6か月待つという意味ではありませんので、急速に広がっている場合は早めにご相談ください。

重い感染症や帯状疱疹、血球数・肝機能の変化、血栓症などに注意が必要です。使用前には結核や肝炎などの感染症検査、血液検査を行い、治療中も定期的に確認します。

妊娠中・妊娠している可能性がある方や、重い感染症がある方などは使用できません。薬ごとに注意点が異なるため、専門施設で説明を受けたうえで治療を判断します。

子どもにも使える薬があります

リットフーロは、適応条件を満たす12歳以上の方に使用できます。

オルミエントも2026年6月に小児の用量が追加され、12歳以上かつ体重30kg以上の小児の重症円形脱毛症に使用できるようになりました。

いずれも年齢だけで使用が決まるわけではなく、脱毛の範囲や経過、検査結果などを確認します。

当院では重症例を基幹病院へご紹介しています

当院では、軽症から中等症の円形脱毛症を診断し、ステロイド外用薬や308nm紫外線治療を中心に治療します。

次のような場合には、円形脱毛症の専門的な治療が可能な基幹病院へご紹介します。

ステロイドパルス療法は、ステロイドを点滴で短期間に多く投与する治療です。必要な治療が院内で難しい場合も、病状に合った医療機関につなぎます。

様子を見てもよい場合と、早めに受診した方がよい場合

小さな脱毛斑が1つだけであれば、自然に発毛してくることもあります。ただし、見た目だけでは今後広がるかどうかを予測できない場合があります。

短期間で範囲が広がる、次々と脱毛斑ができる、眉毛やまつ毛まで抜ける場合は、早めに受診してください。子どもの脱毛や爪の変化を伴う場合も、一度皮膚科で確認しましょう。

ご自宅で気をつけること

普段の洗髪や散髪をやめる必要はありません。頭皮を強くこすったり、自己判断で育毛剤を使い始めたりせず、脱毛の原因に合う治療を受けましょう。

普通にシャンプーして大丈夫です

円形脱毛症だからといって、髪を洗うことで脱毛が悪化するわけではありません。頭皮を強くこすらず、通常どおり清潔にしていただいて構いません。

髪を切っても病気は悪化しません

髪を切ることと円形脱毛症の進行には、基本的に関係ありません。帽子やウィッグも使用できます。締めつけや蒸れで頭皮に負担がかからないものを選んでください。

高価な育毛剤を急いで購入する必要はありません

円形脱毛症はAGAとは原因が違います。市販の育毛剤やAGA治療薬を自己判断で使用しても、適切な治療にならないことがあります。まず診断を受けることが大切です。

よくある質問

円形脱毛症はストレスが原因ですか?

ストレスが発症のきっかけになることはありますが、ストレスだけで起こる病気ではありません。毛包に対して免疫が誤って反応する自己免疫性疾患と考えられており、ストレスを減らすだけで改善するとは限りません。

自然に治ることはありますか?

あります。特に小さな脱毛斑が1か所だけの軽症例では、自然に発毛してくることがあります。一方で、多発したり急速に広がったりすることもあるため、経過に応じて治療を検討します。

一度治ったら再発しませんか?

円形脱毛症は再発することがあります。いったん発毛したあと、数年経ってから再び脱毛する方もいます。

紫外線治療は痛いですか?

照射時の感じ方には個人差があります。針を刺す治療ではありませんが、照射後に赤みやヒリヒリ感が出ることがあるため、皮膚の反応を見ながら照射量を調整します。

紫外線治療は保険が使えますか?

はい。円形脱毛症に対する308nm帯の中波紫外線療法は、保険診療として受けられます。

子どもの円形脱毛症も診てもらえますか?

診察できます。子どもの脱毛では、頭部白癬や抜毛症などとの区別も必要です。小児の紫外線治療は長期的な安全性のデータが限られるため、年齢や症状、効果を確認しながら治療を選びます。

オルミエントやリットフーロを処方してもらえますか?

当院では、これらの薬による治療を検討する方を基幹病院へご紹介しています。広範囲で治りにくい円形脱毛症が対象で、脱毛の範囲や経過などから適応を判断します。

円形脱毛症でお悩みの方へ

円形脱毛症は「ストレスだから仕方がない」「そのうち生えてくるだろう」と考えられがちですが、症状の程度は患者さんによって異なります。

向日市のふるかわスキンクリニックでは、脱毛の範囲や進行状態を確認し、ステロイド外用や308nm紫外線治療を中心に治療します。より専門的な治療が必要な場合には、基幹病院と連携します。

髪が丸く抜けていることに気づいた場合や、脱毛が広がっている場合には、ご相談ください。