爪白癬とは
爪白癬は、足白癬(水虫)などを放置することなどで爪に真菌(カビ)が感染している状態です。日本における疫学調査では5人に1人は足白癬、10人に1人は爪白癬に感染しているというデータもあります。爪は分厚く感染が成立するまでは時間がかかる一方、一度感染が成立する(爪白癬になってしまう)と足白癬よりも治療が難しくなります。
症状
足の第1趾(親指)から症状がでてくることが多いです。進行が緩徐で自覚症状もあまりないため放置されることもありますが、爪の先端が白濁し徐々に爪の根元に広がり、爪がもろくなったり、肥厚(分厚くなること)したり、他の爪に広がっていったりします。重症になると靴下や靴が履きにくくなったりします。
治療法
治療は大きくわけて薬を塗る外用と薬を飲む内服に分かれます。
外用
外用での治療のメリットは内服よりも安全性が高いことです。ただ、足白癬同様、抗真菌薬は接触皮膚炎(かぶれ)のリスクが比較的高い製剤となっています。
デメリットは軽症例の人にしか効果が期待できないこと
毎日爪に塗る必要があること、治療期間が最低半年から1年程度はかかってしまうことです。
内服
メリットは効果が外用よりも優れていることです。以前まで爪白癬の内服薬は他の薬との飲み合わせが悪いことが多く、皮膚科医でも内服薬での治療を嫌煙することが多かったですが2018年にネイリン®という新しい爪白癬の治療薬が登場しました。これまでの薬よりも飲み合わせを気にする必要が少なくなり、かつ治療効果もこれまでより高い画期的な薬です。
12週間毎日薬を内服していただくことで爪に抗真菌成分が蓄積し、内服終了後も効果が持続します。※内服終了後に爪が白濁していてもそのまま経過をみます。
デメリット
内服薬ですので併用できない薬があったり、消化器症状(胃のむかつき、吐き気など)が出現する方がいます。また肝臓にダメージを与えることもあるため内服開始前と内服開始5-6週間後を目安に血液検査が必要となっています。
また費用も比較的高く、3割負担でもおよそ25000円(2024年3月現在)程度の薬代がかかってきます(診察代、血液検査代など除く)
ただし、漫然とあまり効果のない外用薬を塗り続けるより最終的な費用は安くなることからも当院では特に肝臓に問題がない方などでは積極的に飲み薬での治療を勧めさせて頂いております。