アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。 乾燥肌が土台にあり、汗、摩擦、季節、ストレス、花粉、接触刺激などで悪化することがあります。

治療では、保湿だけでなく、炎症をしっかり抑える塗り薬を必要な量で使うことが大切です。 「よくなったら終わり」ではなく、再発しやすい場所をどう管理するかまで一緒に考えます。

ふるかわスキンクリニックでは、アトピー性皮膚炎・乾燥肌について、塗り薬の量、塗る場所、続け方、保湿の方法、紫外線治療、必要に応じた注射薬・内服薬まで含めて相談できます。


アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹を繰り返す慢性的な皮膚炎です。

赤み、ブツブツ、カサカサ、じゅくじゅく、かさぶた、皮膚のごわつきなどが見られます。 かゆみで掻くことで、さらに湿疹が悪くなることがあります。

症状が出やすい場所は、年齢によって少し変わります。

ただし、出方には個人差があります。 「この場所なら必ずアトピー」「この場所でなければ違う」と決めつけることはできません。


乾燥肌との関係

アトピー性皮膚炎では、皮膚のバリア機能が弱くなりやすく、乾燥しやすい状態になります。

皮膚が乾燥すると、外からの刺激が入りやすくなります。 その結果、かゆみや炎症が起こりやすくなります。

軽い乾燥であれば、保湿だけで改善することもあります。 しかし、赤みやかゆみが出ている湿疹では、保湿だけでは不十分なことがあります。

保湿はとても大切ですが、保湿は「炎症を直接消す薬」ではありません。 炎症があるときは、炎症を抑える外用薬を使い、そのうえで保湿を続けることが重要です。


かゆみの悪循環

アトピー性皮膚炎では、かゆみを抑えることがとても大切です。

かゆい → 掻く → 皮膚が傷つく → 炎症が強くなる → さらにかゆくなる

この悪循環が続くと、皮膚が厚くなったり、ごわついたり、色素沈着が残ったりすることがあります。

「掻かないで」と言われても、かゆみが強いと我慢するのは難しいです。 だからこそ、早めに炎症を抑えて、かゆみを軽くする治療が大切です。


アレルギー検査だけで決まる病気ではありません

アトピー性皮膚炎というと、「アレルギー検査をした方がよいですか?」と聞かれることがあります。

必要に応じて血液検査などを検討することはあります。 ただし、アトピー性皮膚炎の診断や治療方針は、検査の数値だけで決まるものではありません。

診断では、皮膚の状態、湿疹の場所、かゆみ、経過、これまで使ってきた薬への反応を見ます。

食物アレルギーや環境アレルギーが関係している場合もありますが、自己判断で食事制限をしたり、生活を大きく変えたりする前に、診察で相談しましょう。


炎症を抑え、保湿と刺激対策を続ける

アトピー性皮膚炎の治療は、大きく分けて次の3つです。

この3つを組み合わせて、症状が落ち着いた状態を保つことを目指します。


保湿だけでよい場合・薬が必要な場合

乾燥が中心で赤みやかゆみが軽い場合は、保湿で落ち着くことがあります。

一方で、赤い、かゆい、ブツブツする、じゅくじゅくする、掻き壊している場合は、すでに炎症が起きています。 この場合は、保湿だけでは改善しにくいことがあります。

炎症がある部分には、ステロイド外用薬や非ステロイド外用薬など、炎症を抑える薬を使います。 保湿剤は、炎症を抑える薬の代わりではなく、治療を支える土台として使います。


ステロイド外用薬について

ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎の炎症を抑えるために使う基本的な薬の一つです。

「ステロイドは怖い」と思われる方もいます。 しかし、必要な場所に、必要な強さで、必要な量を使わないと、炎症が残ってかえって長引くことがあります。

弱い薬を少しだけ塗って、赤みやかゆみが残ったままになると、掻き壊しや慢性化につながることがあります。 症状に合った強さの薬を、短期間しっかり使って炎症を落ち着かせることが大切です。

ただし、顔、まぶた、首、陰部、乳幼児の皮膚では、薬の強さや期間に注意が必要です。 自己判断で長く塗り続けず、診察で塗り方を確認しましょう。


塗る量が少なすぎることがあります

アトピー性皮膚炎では、「薬を塗っているのに良くならない」という相談がよくあります。

実際には、薬が合わないのではなく、塗る量が少なすぎることがあります。 赤いところに薄く少しだけ塗っても、炎症を十分に抑えられない場合があります。

外用薬は、塗る場所、量、回数、期間が大切です。 診察では、どの薬を、どこに、どのくらい塗るかを具体的に確認します。

「何となく怖いから少なめに塗る」より、必要な量を使って早めに炎症を落ち着かせる方が、結果的に薬の使用量を減らせることがあります。


非ステロイド外用薬について

アトピー性皮膚炎では、ステロイド以外の外用薬を使うこともあります。

代表的なものには、次のような薬があります。

一般名:タクロリムス

一般名:デルゴシチニブ

一般名:ジファミラスト

一般名:タピナロフ

薬の種類によって、使える年齢、向いている部位、刺激感、使い方が異なります。

顔や首など、ステロイドを長く使いにくい場所で検討することがあります。 また、ステロイドで炎症をしっかり落ち着かせたあと、良い状態を維持するために使うこともあります。

「ステロイドを使わない治療がしたい」という希望がある場合も、まず炎症の強さを見たうえで相談します。 湿疹が強い時期には、ステロイド外用薬で早めに炎症を抑えた方がよいこともあります。


リアクティブ療法とプロアクティブ療法

アトピー性皮膚炎の塗り薬には、大きく2つの考え方があります。

リアクティブ療法

湿疹が出たときだけ薬を塗り、良くなったらやめる方法です。 これをリアクティブ療法といいます。

症状が軽く、再発しにくい方では、この方法で安定することがあります。

ただし、薬をやめるとすぐ同じ場所に湿疹が出る方では、リアクティブ療法だけでは不十分なことがあります。


プロアクティブ療法

見た目が良くなったあとも、再発しやすい場所に抗炎症外用薬を間隔をあけて塗り、良い状態を保つ方法です。 これをプロアクティブ療法といいます。

たとえば、毎日塗っていた薬を、症状が落ち着いたあとに週2回だけ続ける、というような方法です。 実際の頻度は、症状や部位によって調整します。

「薬をやめるとすぐ悪くなる」という方は、やめ方や維持の仕方を見直すことで安定しやすくなることがあります。


紫外線治療について

アトピー性皮膚炎では、塗り薬や飲み薬に加えて、紫外線治療を検討することがあります。

特に、次のような場合は相談の対象になります。

当院では、セラビームminiLEDを用いた紫外線治療を行っています。

セラビームminiLEDは、308nmの紫外線を病変部に照射する治療機器です。 部分的に残る湿疹などへ、範囲を絞って照射します。

紫外線治療は、1回で大きく改善する治療ではありません。 週1〜2回を目安に継続し、皮膚の反応を見ながら照射量と回数を調整します。

治療の継続回数や予約方法は、診察時または受付でご確認ください。

主なリスクとして、赤み、ヒリヒリ感、ほてり、日焼けのような反応、色素沈着などがあります。 照射する部位や皮膚の状態により、照射量を調整します。


かゆみ止めの飲み薬について

かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬などの飲み薬を使うことがあります。

飲み薬は、かゆみを軽くして掻き壊しを減らす助けになります。 ただし、皮膚の炎症を直接しっかり抑える主役は、外用薬になることが多いです。

眠気が出る薬もあるため、年齢や生活に合わせて相談します。


感染を合併することがあります

アトピー性皮膚炎では、掻き壊しにより皮膚のバリアがさらに壊れ、細菌やウイルスの感染を合併することがあります。

注意したい症状は次の通りです。

とびひ、毛嚢炎、単純ヘルペスなどを合併していることがあります。 いつもの湿疹と違う悪化の仕方をした場合は、早めに受診してください。


自宅でできるスキンケア

アトピー性皮膚炎では、毎日のスキンケアが治療の土台になります。

洗い方

汗や汚れは、皮膚への刺激になります。 入浴やシャワーでやさしく洗い流しましょう。

洗うときは、泡でなでるように洗います。 ナイロンタオルでこすったり、熱いお湯で長く洗ったりすると、乾燥やかゆみが悪化することがあります。


保湿

入浴後は、皮膚が乾燥しやすくなります。 できるだけ早めに保湿剤を塗りましょう。

保湿剤は、湿疹がある場所だけでなく、乾燥しやすい場所にも塗ります。 季節や皮膚の状態によって、軟膏、クリーム、ローションなどを使い分けます。


汗への対応

汗はかゆみの原因になることがあります。

汗をかいたら、シャワーで流す、濡れたタオルで押さえるように拭く、着替えるなどの工夫をしましょう。 特に夏、運動後、寝汗をかいた後は、汗をためないことが大切です。


掻き壊し対策

かゆみが強いと、無意識に掻いてしまいます。

爪を短くする、寝る前に薬をきちんと塗る、汗を流す、肌着をやわらかい素材にするなど、掻き壊しを減らす工夫をします。 子どもの場合は、「掻かないで」と注意するだけでなく、かゆみを減らす治療を優先しましょう。


避けたいこと

次のような対応は避けてください。

不安がある場合は、薬をやめるのではなく、塗る量や頻度を相談してください。


受診をおすすめする状態

次のような場合は、皮膚科での相談をおすすめします。

治療を続けているのに良くならない場合は、薬の種類だけでなく、塗る量、塗る範囲、塗るタイミングを見直すことも大切です。


重症のアトピー性皮膚炎について

通常の外用治療を続けても十分に落ち着かない場合や、かゆみで眠れない状態が続く場合は、より専門的な治療が必要になることがあります。

近年は、注射薬や内服薬など、重症アトピー性皮膚炎に対する治療選択肢が増えています。

当院では、状態に応じて次のような注射薬・内服薬を検討することがあります。

注射薬

イブグリースは、成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児が対象です。ほかの注射薬も、薬ごとに対象年齢や投与間隔、注意点が異なります。

内服薬

オルミエントはJAK阻害薬で、アトピー性皮膚炎では2歳以上が対象です。年齢や体重によって用量が異なり、感染症への注意や投与前・投与中の検査が必要です。

これらは、従来の塗り薬だけでは十分に改善しにくかった中等症から重症のアトピー性皮膚炎で検討することがあります。

誰にでも使用できるわけではありません。年齢、症状の強さ、湿疹の範囲、これまでの治療歴、かゆみの程度、持病、妊娠の可能性などを確認したうえで判断します。

注射薬・内服薬を使う場合でも、保湿や外用薬が不要になるわけではありません。外用治療を続けながら、症状やかゆみをコントロールしていきます。

費用は薬剤や投与間隔、保険負担割合、高額療養費制度の対象になるかどうかによって大きく変わります。 3割負担でも月に数万円程度の自己負担になることがあります。実際の費用は診察時にご確認ください。


塗り方の見直しから紫外線治療・注射薬の相談まで

診察では、湿疹の場所、赤み、かゆみ、乾燥、掻き壊し、感染の有無、これまで使ってきた薬の種類と塗り方を確認します。

当院で相談できる内容は次の通りです。


よくある質問

アトピー性皮膚炎は治りますか?

症状を長く落ち着かせ、日常生活に支障が少ない状態を目指します。

体質や皮膚のバリア機能、環境などが関係するため、良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。 再発しにくい状態を保つためには、保湿と炎症を抑える治療を続けることが大切です。


保湿だけでよいですか?

乾燥だけなら保湿で改善することがあります。

ただし、赤み、かゆみ、ブツブツ、じゅくじゅくがある場合は、皮膚に炎症が起きています。 その場合は、保湿だけでなく炎症を抑える薬が必要になることがあります。


ステロイドは怖い薬ですか?

ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎の炎症を抑えるために使う基本的な薬です。

大切なのは、部位と症状に合った強さを、必要な量と期間で使うことです。 怖がって少なすぎる量を塗ると、炎症が残って長引くことがあります。


非ステロイドの塗り薬には何がありますか?

プロトピック、コレクチム、モイゼルト、ブイタマーなどがあります。

薬によって使える年齢、向いている部位、刺激感、塗り方が異なります。 ステロイドの代わりにいつでも使えるというより、皮膚の状態や治療段階に合わせて選びます。


リアクティブ療法とプロアクティブ療法は何が違いますか?

湿疹が出たときに薬を塗り、良くなったらやめる方法をリアクティブ療法といいます。

一方、症状が落ち着いた後も、再発しやすい場所に間隔をあけて抗炎症薬を塗り、良い状態を保つ方法をプロアクティブ療法といいます。

薬をやめるとすぐ悪化する方では、プロアクティブ療法が合うことがあります。


紫外線治療はできますか?

当院では、セラビームminiLEDによる紫外線治療を行っています。

手首、肘、膝裏など、部分的に湿疹やかゆみが残る場合に検討することがあります。 週1〜2回を目安に継続し、皮膚の反応を見ながら照射量を調整します。


薬を塗っているのに良くなりません。

薬の種類が合っていない場合もありますが、塗る量が少ない、塗る範囲が狭い、使う期間が短いこともあります。

また、感染を合併している、汗や摩擦で悪化している、外用薬をやめるタイミングが早い場合もあります。 診察時に、実際の塗り方を確認しましょう。


薬をやめるとすぐ悪化します。

見た目が良くなっても、皮膚の中に炎症が残っていることがあります。

再発しやすい場所では、症状が落ち着いたあとも、間隔をあけて抗炎症薬を使う方法があります。 塗り薬を急に全部やめるのではなく、減らし方を相談しましょう。


注射薬や内服薬は誰でも使えますか?

誰でも使えるわけではありません。

デュピクセント、アドトラーザ、ミチーガ、イブグリースなどの注射薬や、オルミエントなどの内服薬は、これまでの外用治療で十分に改善しない中等症から重症の方で検討します。対象年齢や持病、検査結果、費用も含めて確認が必要です。


アレルギー検査は必要ですか?

全員に必要なわけではありません。

アトピー性皮膚炎の診断や治療方針は、血液検査だけで決まるものではありません。 食物や環境因子が疑われる場合に、症状と合わせて検討します。


子どものアトピーも診てもらえますか?

診察できます。

子どもでは、保湿、洗い方、薬の量、塗るタイミングを家で続けやすい形にすることが大切です。 かゆみで眠れない、掻き壊す、じゅくじゅくする場合は早めにご相談ください。